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ディレクターの新人研修について
こんにちは、エムハンドの山手(@mhand_yamate)です。
弊社では通年でWebディレクターを積極的に採用しており、入社後の新人研修プログラムの強化を継続的に行っております。今回の記事は、その新人研修プログラムの内容をまとめた記事です。今後、エムハンドのWebディレクター求人に応募してみようかなと、ご検討中の方に「入社後は安心の研修の仕組みがある」と思っていただければ幸いです。
まずはじめに
今まで20年試行錯誤を繰り返しました。創業当時は研修なんて概念がなかったので未経験であってもいきなり現場に出て調べながらやる時期も長くありました。新卒採用からの育成をメインにしていた時期もありました。時間をかけて育ててたつもりでしたが、当時の弊社の組織形態ではそれもうまくいきませんでした。次に研修内容を体系的に整えて、専任トレーナーの下で、提案・クリエイティブ・制作指揮進行のディレクター業務を2ヶ月の研修期間でみっちり教えて、後は現場でチーム上長にお任せするという形式も行いましたが、これも結果的にはうまくいきませんでた。それらの失敗を踏まえて現在取り組んでおります研修制度についてご紹介します。
< 研修制度の概要 >
①専任の研修担当のトレーナーが担当
②研修期間とサポート期間に分ける
③研修期間では最低限の知識をだけを身に付ける
④研修内容の見える化
⑤疑問質問をナレッジ共有し情報の蓄積
①専任の研修担当のトレーナーが担当
研修期間は、元ディレクターである専任のトレーナーが、予め設定されている課題に対して実務で必要なレベル感でフィードバックします。
また、制作フローや社内ルールに対しても定期的に時間を作って丁寧にレクチャーしています。研修終了後も、トレーナーは継続的に担当上長と共によき相談相手としてメンター的な立ち回りを行っております。
②研修期間とサポート期間に分ける
研修期間は1~3か月程度を予定しています。期間に幅があるのは、ご入社時の経験値によりカリキュラムの進捗度が大きく変わるからです。
目安としてはスクール卒生などの未経験者で2~3ヶ月程度、ディレクター経験者の方で1か月程度です。研修期間が終われば、チーム配属となりアシスタントディレクターとして実務に入っていきますが、配属後半年は、サポート期間としてトレーナーが研修期間では経験が積みきれない、サーバやドメイン関係のことやCMSなどの技術的なことの質問・相談窓口となりサポートしております。
③研修期間では最低限の知識だけを身に着ける
研修期間のゴールとして、習得するスキルを下記の内容に定めております。
・見積、サイトマップが作成できる
・議事録、訪問報告が書ける
・スケジュール調整ができる
・案件管理シートの作成ができる
・ワイヤーフレームが作成できる
以前は研修期間にディレクターの全業務を網羅して詰め込むような研修でしたが、その状態でチームに送り込んでも、現場レベルでの再教育が必要となりました。結果として、チーム負担も大きく全体的には効率的ではなかったので、現場で戦力となるスキル、知識を最低限定義してそこをゴールとしております。
④研修内容の見える化
課題は、見積作成、スケジュール作成、ワイヤフレームの作成などがあります。それぞれ、研修担当のトレーナーと担当上長の承認をもらって課題クリアとなります。
研修期間中は営業会議、業務改善会議、クオリティ会議など自由に参加可能です。そこで気になったことなどは質問シートに記載すればトレーナー以外の人からも回答がもらえます。
研修内容が全て一覧表示されてますので、課題実習、ルールを覚えるなどの座学、動画教材での基本スキル習得など、自分のペースで能動的に取り組めるようになってます。これらの課題が全てクリアになれば研修期間終了となり、実際の案件にアサインされていきます。
⑤疑問質問をナレッジ共有し情報の蓄積
会議中に出てきた疑問などは、研修シートに記載することで、トレーナーや上長が回答してくれます。些細なことでも質問すれば、丁寧に回答がもらえ、また、そのやり取りはナレッジとして、今後の研修生のQ&Aとして蓄積されていきます。以下に、3つのケースをご紹介します。
<Q>
初回のヒアリング時に、クライアントの事前情報が少ない場合はどのように準備すればいいですか?
—
<A>
ネットにクライアントの情報が少ない場合は、競合他社の情報を調べて「業界理解」を深めることで、ヒアリングの精度を高めることが出来ます。
初回のヒアリングについてもう少し解説しておきます。
まず、クライアントのビジネス理解を深めるためにホームページなどは読み込んでください。そして、ヒアリングシートに聞きたいことをまとめてください。最初はヒアリングも準備に2~3時間は掛けた方がいいと思います。
最初は事前に「こんな感じの内容を聞きます」など上長に相談してもいいかと思います。壁打ちは大事です。また、ヒアリングで意識することとしては、クライアントをどれだけ理解してるかで回答の精度が大きく変わります。杓子定規で一般的な質問をしても本質的な情報は得られません、例えば「〇〇のページに▼▼と書いてあったのですが、これは業界としては一般的なことでしょうか」みたいなヒアリングです。
また、Giveする姿勢を忘れずにしてください。ヒアリングはTakeだけしてもらう機会ではありません。「最近、〇〇のようなトレンドでして」「競合他社では▼▼でお問い合わせを増やされてます」などなど、クライアントにとって有益な情報をGiveすれば、Takeの質とディレクターへの信頼感が向上します。
<Q>
細部にこだわりだすと、大きな視点でみるということを忘れてしまう瞬間が出てくるのかもしれないと感じました。その様な時に我に返り、違った視点でものごとを見る方法や工夫などは何かあるのでしょうか?
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<A>
これでいいのかな?と振り返る時は、常に「ユーザー視点」で確認することが大事です。ユーザーの立場で「この表現でわかるかな」「サービス申し込む時に気になる点は、」などです。
今後、ディレクターとしての目線は全て「ユーザー視点」でモノゴトを捉えてください。ちなみに、大きな視点で見誤ってしまった場合は、WFやデザインの着手以前の問題です。大きな視点で外さないために、コーポレート、集客、採用など各ジャンルのスタンダードを知ることが重要です。
また、最初にしっかりと「誰に」「何を」など、いわゆるターゲットやコンセプトをしっかり言語化しておけば、細部にこだわりすぎて大きな方向性がズレるということはさほど起こりません。
<Q>
クライアントの事業内容が固まってない状態、ヒアリングしても「まだメイン事業が定まっていないな…」という場合、WFを作成する際、ディレクター側からどのような提案をすることがベストなのでしょうか。
—
<A>
こういったケースの場合は、基本的にまずは競合他社のサイトをみてオーソドックな構成でWFを作るのがベターです。
会社紹介を目的としたコーポレートサイト、サービス紹介で集客したいサイト、など、目的に合った基本的な構成の骨組みを作って、クライアントにWFを見せて必要な情報や欲しい文章内容を伝えるとクライアントもイメージしやすくスムーズに進行できる可能性が高くなります。上記の質問のようなケースは、デザイン着手までにWFをベースにクライアントと何度か協議して精度を上げるプロセスで進めてください。
さいごに
以上の内容がエムハンドのディレクター研修の内容になります。昨今のWeb制作はとにかく覚えなければいけないこと、ケアしなければいけないことが多いです。現場で求められるスピード感やレベル感が年々高くなってます。
ですので、受け入れる会社の研修の制度が非常に重要ですし、同時に未経験でチャレンジする方は覚悟が必要です。
覚悟を持ってチャレンジする方々が、アートディレクション・集客・システム・業種特化などの専門性を高め、クライアントのビジネスに貢献できることができます。Webディレクターとして活躍できる人材を育てる為に今後も研修制度を充実させていきたいと思います。
最後までお読みいただきありがとうございました。
writer
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山手重則 @mhand_yamate