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いまさら聞けないビジネスマナー

はじめに

エムハンドでは、社員のスキルアップを図り、さらなる品質向上に向けて月一で勉強会を開催しております。今回の題材は『いまさら聞けないビジネスマナー』です。クリエイティブディレクターのokunoの視点から要点を抜粋しご紹介いたします。

okuno
エムハンドのクリエイティブディレクター。広告制作会社やソフトウェア開発会社で事務およびデザイン制作を経験したのち、2022年6月にエムハンドに入社。東京オフィス所属のディレクターとして、日々様々なWebサイト制作に取り組んでいる。

01.ビジネスマナーを身に着ける理由

ビジネスマナーが必要な3つの理由

❶円滑なコミュニケーションのため
ビジネスで出会うのは、同世代や同じような考えを持っている人ばかりではありません。上手にコミュニケーションを取るためには、身だしなみや言葉遣いがその場に合ったものである必要があります。

❷信頼関係の構築のため
取引先と仕事をする際は、実務のほか、気配りや電話対応、接客応対についてもチェックされています。これらがきちんとできていると、「この会社とは安心して取引ができる」と評価され、信頼関係の構築が期待できます。

❸取引先の満足のため
良い提案や制作の提供に加えて、感じの良い対応をするとさらに満足度が高くなります。「同じ商品を同じ値段で買うならば、感じの良い人から買いたい」と考える企業や顧客は多いはずです。

ビジネスマナーを身に着けるメリット

選考で他社と横並びになったとき、印象で有利な会社が選ばれる可能性があります。

飲食店や美容院に行くとき、「めちゃくちゃ美味しい!」や「カット技術が高いから」ではなく、「感じのいい接客をしてくれるから」という理由で選んでいることがあるのではないでしょうか。提案内容が横並びになったときに、「今後制作を進めていくにあたり、丁寧に接してくれそう(=円滑なコミュニケーションが取れそう)」という印象は、選考に大きな影響を与えます。

良い提案書を作ることやプレゼンテーション力を身に着けるのにはそれなりの経験が必要です。しかし、ビジネスマナーの向上は誰でも簡単に、明日からでも実践することができます。「この担当者にお願いしたい!」と思わせるようなビジネスマナーを身に着けることで、「次もまたこの人にお願いしたい!」と、リピート率のアップにも繋がります。

02.各フェーズごとのビジネスマナー

ここからはディレクタ業務の流れに沿って、各フェーズで気を付けたいビジネスマナーをご紹介します。

(1)初動対応

これだけで印象アップ!!メール作成のポイント

 

❶法人名・部署・肩書は正しく

×NG例
エムハンド 山手さま

・株式会社や一般社団法人などの法人格がない
・肩書がない
・さまがひらがな

 

◎OK例
株式会社エムハンド
代表取締役 山手様

「○○社長様」「○○部長様」ではなく、役職 + 氏名 + 様 と記載します。部署がわかる場合は部署も記載します。

 

❷用件のみではなく、相手への気遣いを忘れずに

×NG例
御見積書を送付いたします。ご検討のほど、何卒よろしくお願いいたします。

 

◎OK例
御見積書を送付いたしますので、ご確認のほどよろしくお願いいたします。

御見積の内容に関しまして、お電話やお打ち合わせでご説明させていただくことも可能です。その他、ご不明な点や追加のご要望などがございましたら、お気軽にご相談ください。

用件のみのメールは冷たく感じてしまいます。相手を気遣う一文を添えて、寄り添う姿勢をアピールしましょう。

 

❸「申し訳ございません」よりも「ありがとうございます」

×NG例
お忙しいなか、ご確認にお時間をいただき申し訳ございません。
謝られると、「謝罪=相手が悪い」と感じてしまう。

 

◎OK例
お忙しいなか、ご確認いただきありがとうございます。
お礼を言われると、「自分は良いことをした」と嬉しく感じる。

一言で印象が変わるので、感謝の言葉は積極的に伝えましょう。

 

(2)提案

打ち合わせ中だけじゃない!訪問時の注意点

❶打ち合わせ前から見られている意識を持つ

  • どこに関係者がいるかわかりません。「聞かれては困る話」は、最寄り駅くらいから控えましょう。
  • 受付でも人間性は見られています。社名と自分の名前、誰と約束しているか簡潔に伝えましょう。相手の部署・肩書・電話番号(内線番号)は必ず事前に確認してください。

<受付の例>
「株式会社エムハンドの奥野と申します。経営企画部の親川様とのお打ち合わせでお伺いいたしました」

❷上座を把握し、下座にまわる

  • 上座:その場に居る位の高い方、お客様が座る場所
  • 下座:社歴が浅い方、年齢が若い方が座る場所

誰が上座に座るかは、役職・年齢・社歴で決めます。その場に集まる方のなかで社長・専務など、役職の高い方が上座に座ります。仮に同じ役職の方がいた場合は、社歴の長い方が上座です。役職も社歴も一緒の場合は、年齢の高い方が上座に座ります。

下座に座る方の決め方も同様です。役職がなく、社歴が短く、若い方が下座に座ります。

 

●状況に応じた上座の違い

 

<会議室の上座 (基本)>
一般的には、入口から遠い席が上座、入口から近い場所が下座です。左右では向かって左が上座となります。入口付近は人が頻繁に出入りするため、落ち着いて座れません。よって、入口から遠く、ゆっくり座れる席が上座となります。

<会議室の上座 (議長がいる場合)>
席次は席の配置や参加者により異なります。
会議室の座席がコの字型の場合、まずは議長・進行役が、入口から最も遠い席で全体が見渡せる位置へ座ります。上座は議長・進行役と同列の席になり、議長・進行役の右隣の席です。2番目は議長を挟んだ反対側になります。議長や進行役がいる場合は、議長・進行役の隣で入口から遠い席が上座です。

<エレベーターの上座>
エレベーターは入って左奥が上座で、操作盤の前が下座
です。操作盤が右側か左側かで位置が変わったとしても、上座の位置は変わりません。操作盤が2箇所あるエレベーターの場合は、右側の操作盤前が下座です。左上右下の基本に則り、左右両方に操作盤がある際は右が下座と覚えておきましょう。

 

<👩‍🏫クイズ:この場合の上座はどこでしょう?>

お客さまと中華料理店で会食をしていると仮定してください。この場合の上座はどこになるでしょうか?

お客様と中華料理店で会食

<回答>
円卓の場合でも、入口から最も離れた席が上座で、 上座から見て左側が2番目、右側が3番目となります。

「左側が上座」とお伝えしたうえでこちらの例題を出しましたが、みなさんいかがでしたでしょうか?基本は「入口から遠い席が上座、近い席が下座」なので、上図が正解となります。

 

❸相手からではなく、自分から挨拶しよう

  • 名刺入れは事前に取り出しやすい位置に入れておく
    相手の方が入室されたら、「ご挨拶させていただいてよろしいですか」と自分からご挨拶の機会を作りましょう。
  • 名刺交換のときは、相手の名刺よりも低い位置で差し出す
    (たまに下げ合戦になるのでほどほどに)
  • 下座側にまわり、いきなり着席はせず、促されてから座る
    椅子に荷物を置くのはやめましょう。

 

❹お打ち合わせ中は、相手の話を最後まで聞く

自分の意見と違っても、相手の会話を遮ぎって話すのはNGです。まずは相手の話を最後まで聞きましょう。

 

❺会社を出るときも気を抜かない

エントランスを出るとき、丁寧な方はお辞儀をして見送ってくれています。自動ドアなどで扉の向こう側が見える場合はかならず振り返り、相手がいればお辞儀または会釈を返します。振り返らず立ち去らないように気をつけましょう。

 

(3)受注

契約まわりはきっちり!「きちんとした人・会社」で印象アップ

❶受注の御礼はテンプレのまま出さない

自分にとっては複数案件のなかの一案件でも、相手にとってはあなただけ。
テンプレメールでなはく、一文だけでもその案件に対する文章を記載すると、

「きちんと気持ちがこちらに向いている」
「当社のことを真摯に考えてくれている」

と印象付けることができます。

印象が良くなると、その後の制作がしやすくなります。

❷契約時に出てくる単語を覚えておく

「ゴム印でいいですか?」と聞かれるなど、契約まわりによく出てくる単語があります。すべてを知っている必要はありませんが、何も知らないと、相手に「この人大丈夫かな」と思われてしまいます。下記はよく出てくる単語の一例です。

 

<よく出てくる単語>
  • 支払いサイト
    「月末締め翌月末払い」などの、支払い条件のこと
  • よく出る判子の名称
    「社判」「ゴム印」「丸印」「角印」「代表者印」

「支払いサイト?」「社判ってなんだ…?」とならないよう、覚えておきましょう。

 

▼参考:シヤチハタ株式会社

会社印とは?角印とは?社判とは?社印とは?それぞれの違いを説明

 

(4)制作

基本の電話応対を身に着ける

 

❶最初に社名、名前を必ず名乗る
▼お電話を受ける場合
「お電話ありがとうございます。株式会社エムハンドの奥野でございます」

▼お電話をかける場合
「株式会社エムハンドの奥野でございます。今5分ほどお時間よろしいでしょうか」と、相手の都合を確認します。


❷会話終了後は、自分から通話を切らず、相手が切るのを待つ。

相手への気遣いを忘れずに、丁寧な対応を心掛けましょう。

 

<👩‍🏫クイズ:この場合、あなたならどうしますか?>

今日がデザインのクライアント確認期限日。当日になって、お返事をもらわなければならないお客さんから

「すみません、体調が悪くてまだ確認できていないんです…」

とお電話がきました!あなたならどう会話を続けますか?

 

<回答例>
弊社社員の場合
「体調大丈夫ですか?どうかされたんですか?…と、まず言います」

ここではあえて回答を用意していません。まず用件のことを話すのは相手の人への気配りができていないということになってしまいます。聞きたい気持ちをぐっと抑え、相手の体調を気遣うようにしましょう。

 

(5)公開

公開報告メールはテンプレのまま出さない

制作の締めくくりとなる公開報告。苦労したのはクライアントも同じです。 その案件独自エピソードを添えて、御礼の文章を書きましょう。

「大変だったけど、当社に向き合い真摯に対応してくれた」 と印象付けることができます。

03.感想・質疑応答

<質問>
『「様」をひらがなでは書かない』『自分が名乗る時も法人格をいれる』というのを初めて聞いたのですが、根拠はどこにあるのでしょうか?

<回答>
これは丁寧かどうかです。「様」をひらがなにすることで相手との距離感を縮めたいから、あえて使用することもあるかと思います。これは相手との関係性が構築できているお客様だったら問題ないですが、今回は初動対応なので丁寧な対応をしましょう。


<質問>
メールの文章についてなのですが、本文中でお客様の社長のことをなんてお呼びするのがいいのでしょうか?例えば、社長とご検討いただきたい時に、〇〇社長とお呼びするのが一般的なのかと思いますが、呼び捨てのようにも感じられます。どうお呼びするのがいいのでしょうか?

<回答1>
はい、まず先ほどご説明した通り、〇〇社長様、と役職の後ろに様を付けるのは二重敬称となるので間違えです。そして、〇〇社長…で終わらせるとぶっきらぼうに感じてしまう気持ちもわかります。私の場合、「社長の〇〇様と~」といったように、役職+名前+様にしています。

<回答2>
〇〇社長様という表現は二重敬称になるので、口頭でも言ってはいけない、知識のなさが露呈してしまう表現です。役職+〇〇様といったように、名前に様をつけるようにしましょう。法務部があるような大きな企業の場合、文法や話し方、一言ひとことをチェックしていることがあります。


<質問>
ビジネスマナーはどこで学びましたか?

<回答>
前に勤めていた企業や弊社上司に、都度、指導していただきました。数々の失敗を繰り返しながら実務を通して学んだので、ビジネスマナー研修のようなものは受けたことがありません。


<質問>
オンライン上での打ち合わせが増えたので、オンライン特有のマナーが気になります。複数人での打ち合わせの場合、誰がどの方なのかがわからないことも…。オンライン上でお名前、役職がわからない場合、どのように対応していますか?

<回答1>
オンラインでの打ち合わせの場合、2画面で進めることが多いので、カメラから目線が外れることが多くなります。その際、「資料を画面共有するので目線外れます」など、事前に一言お伝えするようにしています。また、役職がわからない場合は、聞けるときは部署名を聞いています。署名を送ってもらったり、部署名とセットで肩書きを教えていただくことも。また、メールでやり取りをしている場合は、メールアドレスに名前と役職が記載されている場合もあるのでそこで確認するのも1つの手です。

<回答2>
事前にオンラインでの打ち合わせが決まっている場合は、どこの誰、部署、役職、人数を担当の方に事前に聞くようにしています。実際にオンライン上では、「事前にお話しをうかがっていますが、もしよろしけばご挨拶いただけないでしょうか?」と改めて伝え、お互い挨拶をするようにしています。


 

おわりに

今回の勉強会はいかがでしたでしょうか。私自身はビジネスマナーについて再確認することができ、大変参考になりました。一例を挙げると、上座、下座についてです。2つ操作盤のあるエレベータや中華テーブルについては、機会がなかったこともあり初めて聞きました。オンライン会議での対応の仕方のように、時代が移り変わることにより新たなマナーを意識することもあると思います。相手への礼節を重んじ、気持ちを込めて対応すれば、失礼にあたることは少なくなるはずです。今後も時流の変化に応じたマナーを身に着けていきたいと感じました。

社内勉強会の様子ですが、質問タイムがあったこともあり、とても和やかな雰囲気の中で行われました。感想や質疑応答の時間では多くの質問があり、ビジネスマナーについて真剣に取り組む弊社社員の熱心さを伺えました。今回の勉強会内容は主に社外向けの内容でしたが、社員同士のマナーもとても重要だと思っています。社外だけでなく、社員やどのような人との関わりでもマナーを意識し、相手を思いやる心を持って行動していきたいですね。

最後までお読みいただきありがとうございました。

 

writer
-
ぽぽ @lpncpn