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中小企業診断士のクリエイティブ
はじめに
2023年6月にエムハンドにWebディレクターとして中途入社したyokoと申します。入社して4ヵ月、Webディレクターとして、クライアントへの対応や社内の制作進行などの業務に従事しております。
タイトルにもあるとおり、前職では中小企業支援機関、民間のコンサルティング会社にて中小企業の経営支援に従事しておりました。また、業務の合間に中小企業診断士試験に挑戦し、資格を取得するに至りました。
私自身、デザインやクリエイティブに精通しているというわけではなく、まったくの異業種からWeb業界の転職になります。本記事では、Web業界に入ったきっかけ、デザインやアート視点ではなく、ビジネス視点からどのようにWeb制作にかかわっているのかを紹介したいと思います。
目次
01.サイトの方向性共有
中小企業診断士という資格について、ご存知ない方もおられると思いますので簡単に説明させていただきます。中小企業の経営課題に対応するための診断、助言を行う専門家のことを指し、簡単に言うと、経営コンサルタントの国家資格です。どんな仕事も共通の言語や前提知識が必要とされるように、円滑な業務の展開においても、この資格は非常に役立つものとなります。経営者の思考や目指す方向性を理解するためには体系的な知識が必要で、そのために試験勉強を開始しました。一時試験勉強から離れた時期もありましたが、3度目の挑戦で、無事に合格することができました。嬉しいというよりは「試験勉強からやっと開放されるんだ…!」とほっとした気持ちが大きかったです。
試験勉強で学んだこと、得たもの
- 勉強前に比べ、多角的な視点でものごとを考えられるようになった
- 情報をわかりやすく整理できるようになった
- 理論では限界があり、1社1社に真摯に向き合うことの大切さ
Webの世界に入ったきっかけ
私が関わった仕事では分析、現状整理や経営戦略の策定支援が中心となっていました。具体的な戦略や事業の実行は、企業自身が行います。いざ、何かをしようと思っても忙しくて思ったように時間が取れなかったり、考えや思いを汲んで実行支援をしてくれる会社に巡り合えないといった悩みを抱えた方にも多く出会いました。
「考えるだけでは、限界がある。考え方を武器に、アイデアを形にする力が必要だ!」と感じ、Webの世界に入ろう!と思い立ったわけです。
情報のインプット
Web業界と一口にいってもWebマーケティング会社、プロモーション会社、Webサイト制作会社、広告運用を行っている会社と色々あります。Webサイトの企画・戦略から制作、運用まで一貫して行っている会社に行きたいと考えていたところ、エムハンドのリクルート情報を見つけました。
02. エムハンドに入社したきっかけ
かねてより、制作物のクオリティが高く、業界内でも存在感のある会社だとは認識していました。一方、デザインばかりではなく、企画段階から成果にこだわったサイト制作に取り組んでいることや、また、最終面接を担当されたアートディレクターの岩松さんに「カッコいいものを作るだけでなく、ビジネス視点でのものづくりをしたいです」という考えを伝えたところ、共感いただけたことが、私の入社を決断する決め手となりました。
…そして一番の決め手は山手社長のエムハンド愛です。この人になら付いて行っても大丈夫だ!と思えたのは大きいです(笑)。
弊社のWebディレクターはマルチタスクで求められる裁量が大きいです。
新しい情報にキャッチアップするのは大変ですが、幅広い業務に携われることや、クライアントと直接話し、深く関われるところが魅力だと感じています。また、前職ではクライアントの経営課題の解決に向けて考え続けてきたことから、これまでに培ったビジネス視点をWeb制作に生かしたいと考えております。
03. ヒアリングを行う上で大切にしていること
事前に準備をしておく
業界や企業のこと、経営者のことをできる限り調べます。相手のことをよく知ることで、抱えている課題が見えやすくなります。
企業の抱えている課題や目的を想像してみる
どのような課題や目的があるのかを想像します。クライアントでも課題が明確になっていないケースがあるので、想像することで質問したい内容が明確になり、ヒアリングをスムーズに進めやすくなります。また、掘り下げをしやすくなります。
前提をしっかり確認する
上長である民野さん(@Shogo_Tamino)より、前提をしっかり確認することが大事だと教わりました。どのような課題を感じているのか、なぜサイトをリニューアルしたいのか、大切にしている価値観は何かなど前提がずれてしまうと、そのあとのヒアリングや提案もぶれてしまうからです。
流れを意識したヒアリングを行う
ヒアリングしたい内容を決めたら、どのような流れで質問をしていくか考えます。大枠をとらえてから深堀すること、答えやすい質問から投げること、オープンクエスチョンとクローズドクエスチョンの使い分け、例を出すタイミングなど、考えながらヒアリングを組み立てていきます。
他にもいろいろありますが、一番大切なことは相手に対して興味を持つことだと思います。相手に対して興味を持つことが、相手に対して真剣に向き合うことにつながるからです。
04. 企画や提案で大事にしていること
Webを活用して成果を出すうえでは、企業戦略におけるWebの位置づけから考えることが重要です。サイトをつくるだけ、広告を運用するだけでは成果は出にくいです。そのため、できる限り「多角的な視点で考えること」を大切にしています。
- 業種やその会社の事業の特性は
- サイトを訪れるのは、どのようなユーザーか
- そのユーザーはどのような経路でサイトを訪れるのか
- ユーザーにとっての魅力的なコンテンツは何か
- どのようにWebを活用するのがベストなのか
- ライバルはどのような戦略をとっているのか
- そもそも本当にWebが有効な手段なのか…
多角的に考えながら、サイトの企画や戦略を練り、サイトマップやワイヤーフレームに落とし込むことで、クライアントにとって納得してもらいやすく、また成果も出やすくなるのではないかと思います。
制作フェーズ
< クオリティを担保する仕組みがあり、企画に注力できる >
制作にかかわっている案件としては少ないのですが、社内には優秀なデザイナーさんやエンジニアさんがおり、制作物のクオリティを担保する仕組みがあるのは、ありがたいと感じています。絶対にいいものを作ってくれるだろう、という安心感があるので、提案や企画に注力できる環境があります。
05. 初担当案件で受注
入社2カ月後、クライアントへヒアリング、提案の機会をいただき、無事に受注となりました。ヒアリングから提案までの流れは以下の通りです。
- ヒアリング準備
- 訪問、ヒアリング
- 提案書の作成
- 提案書会議
- フィードバック、何度かブラッシュアップ
- クライアントへ提案
提案書の作り方から見せ方に至るまで、すべて上長に丁寧に教えていただきました。提案前にはクライアントを想定したプレゼン練習を行い、説明のコツなども教えてもらいました。
他チームも含めた提案会議では、社長、他のチームのWebディレクター、マーケティングチームも交えた会議を実施しました。自分にはない視点やアドバイスをもらうことができ、提案書をブラッシュアップすることができました。実際、アドバイスを元に改善した箇所がクライアントの興味を惹くなど、複数人の目で見ることの大切さを実感しました。
提案にあたって意識した点は、「クライアントのビジネスへ理解を示すこと」です。高品質な良いサイトをつくるのが当たり前となっている時代、+αで差をつけるのであれば、クライアントに寄り添う姿勢、そして企画や提案でその姿勢を見せることだと個人的には感じています。
悩んだ点としては、参考サイト探しです。デザインについては具体的なイメージをはっきりと持っていないとのことで、試行錯誤しました。こちらについては、同チーム、ベテランWebディレクターのYさんより、デザイン提案の方向性のヒントをいただきました。
また、これまでにプレゼンする機会がなかったので、家に帰ってからプレゼンの練習を行いました。効果があったのかはわかりませんが、緊張緩和にはなったと思います。ただ、実際の提案では、不十分な説明になってしまったり、思うように伝えられなかったな…と反省する部分も多々ありました。どのように説明すれば相手に伝わりやすいか、納得感が得られるかは、考え続けなければいけないなと感じます。
06. 習慣化して取り組んでいること
習慣化というほどでもないのですが、普段のインプット・アウトプットで行っていることを紹介します。
- 本屋に定期的に足を運ぶ
- 読書記録の作成(要旨や参考ポイントをまとめる)
- デザインの言語化練習
- サイトレビュー(1週間に2~3サイト)
本屋に行くといろいろなジャンルの本が並べられています。
平積みされている本を見て、こんな本が流行っているんだなと最新のトレンドを感じることもできますし、気になった本はパラパラと読んでみるのも楽しいです。実際に手に取って読んだ本は、要旨や参考になった点をまとめて記録しています。
読書記録の一部
こちらは高橋浩一さん著の『無敗営業 チーム戦略』
また、社内のトップデザイン会議にもオブザーバーとして積極的に参加したり、サイトレビューにも取り組んでいます。社内のデザイナーさんが作成したサイトデザインを見て、どのような点が良いのかを言語化したり、どのように実装するのかを想像しています。
サイトレビューではデザインの良し悪しだけでなく、そのデザインがサイトの目的に沿ったものなのか、キャッチコピーやコンテンツのわかりやすさなども見るようにしています。
これまでに取り組んだサイトレビューの一部
07. ビジネス視点を養うのに役立った書籍
フィードバックをする側、される側のマインドやテクニックが書かれている書籍です。Webディレクターという仕事は立場上、フィードバックすることが多くなるため、手に取りました。本書では改善を求める「ギャップフィードバック」だけでなく、相手を褒める「ポジティブフィードバック」についても触れられています。
本書をきっかけに、素敵だと思ったことは素直に伝えること、各関係者に感謝の気持ちを伝えることを意識するようになりました。
商談を成功させるためのテクニックやコツが紹介された書籍です。
本書を通じて、営業を成功させるためには、クライアントに徹底的に向き合うことが大切なのだと感じました。また、本書で紹介されていた質問テクニックはクライアントの真の課題を引き出すものであり、営業だけでなくWebサイトの制作にも通ずるものがあります。
『文系出身者が2時間で製造業がわかる本』照井 清一 , 八田 信正 (著)
文系出身の私にとって、製造業のしくみを理解するのは大変でした。
本書では、製造業の業務内容や技術などが紹介されており、概要をつかむうえで参考になりました。本書に限らず、専門性の高いサイトを作る際には、色々な媒体をチェックしたいと思います。
08. おわりに
エムハンドは、私だ。
Web制作というと、デザイン、クリエイティブな側面が注目されがちですが、ビジネス視点を持つことでより効果的なWebサイトが作成できるのではないかと思います。
一方で、企画や戦略を考えるだけではなく、作り手側への理解も不可欠です。ビジネス視点とクリエイティブ視点の両方を持ち、お客様のビジネスの成長につながるサイトを提案していきたいと考えております。
最後までお読みいただきありがとうございました。
writer
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yoko @yoko_mhand0619