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採用サイトに必要なコミュニケーション設計

はじめに

株式会社エムハンドでは社員のスキルアップを図り、さらなる品質向上に向けて月一で勉強会を開催しております。今回は採用サイトのコミュニケーション設計についてです。エムハンドでは直近の半年で約50件のお問い合わせをいただき、多くのクライアントの採用サイトを制作しています。その中で見えてきたのはコンセプトや構成のベースとなる、前提を理解することの重要性です。そして、その前提とは求職者が企業に応募をするまでの感情を設計すること。今回のテーマとなるコミュニケーション設計です。この認識を社内で統一することで、現在の飽和化したWebの採用市場でも効果を発揮できる採用サイトを制作できると考えています。この度の勉強会では納品した案件を基に、マーケティングディレクターの山本が採用サイトのコミュニケーション設計について解説しました。その一部を今回の記事でご紹介いたします。ぜひ最後までお読みいただければ幸いです。

 

マーケティングディレクター 山本俊光
大学卒業後、美術館に勤務。広報・総務業務を担当する。その後Webの知見を求めて転職、2018年エムハンドに入社。クライアント及びエムハンドのマーケティング・広報・社内ラジオ『エムラジオ』を担当。

 

01.採用市場のいま

新卒採用は苦戦、中途採用で補っているが流動性は高い

新卒採用に苦戦している部分を中途採用で補っている企業が多いと考えられます。離職率も高くなっていることから、人材の流動性は高くなっているといえるでしょう。

 

新卒採用(2023年)

■企業|採用状況
・採用予定数を充足できた企業:40.4%(前年比-11.8ポイント)
・主な要因は内定辞退が予定より多かった、応募者数が少なかった

■求職者|志望動機上位
・やりたい仕事がある:40%
・安定している:41%(前年比+3ポイント)

■内定者|辞退動機上位
・他の企業の内定が決まった
・企業のことを知っていくうちに、社風が合わないと感じた

 

中途採用(2023年)

■企業|採用状況
・採用人数は平均21.8人で過去最高
・退職者数も前年に比べて平均3人増加

■求職者|入社動機上位
・給与が良い:14.1%(前年比-1.3ポイント)
・休日、残業時間が適正か:10.0%
・希望勤務地か:9.9%(前年比+0.7ポイント)

 

新卒採用に関して、特に注視したいのは以下の2つです。
・新卒予定数を満たしていない企業が増えている
・安定を求める新卒の求職者がやや増えている

 

また、中途採用市場をみると、入社の動機として「給料が良いから」で選ぶ人が少ないのが注目ポイントです。転職を検討する際の、給与に対する比重が変化してきているのではないかと考えます。

 

※参考
リクルート 就職みらい研究所『就職白書2023』
マイナビ 2023年卒内定者意識調査
マイナビ 中途採用状況調査2024年版(2023年実績)
PR TIMES【23~24卒 内定承諾・辞退の決定要因調査】23卒の75%は選考・内定辞退経験あり。辞退の決定的要因は「面接官の印象が悪い」

 

採用サイトを制作する目的の傾向

<ヒアリング時のご要望>
・応募数を増加したい:25件
・自社と求職者のミスマッチを解消したい:25件
※直近半年

 

ヒアリング時のご要望に関しては上記の通り「応募数を増加したい」「自社と求職者のミスマッチを解消したい」で半々でしたが、実態としては「ミスマッチを解消」したうえでの「数の強化」だと考えます。ひと昔前に比べて採用サイトへのご要望の難易度が高くなっており、これはWebの採用市場が飽和化している裏付けであるといえます。だからこそ、求職者と企業のコミュニケーションの場である採用サイトの設計を深く考える必要があります。

02.採用サイトのコミュニケーション設計とは

コミュニケーション設計とは、感情の流れを設計すること

エムハンドでは、採用サイトにおけるコミュニケーション設計を、求職者が企業に応募をするまでの感情の流れを設計することと定義しています。

 

コミュニケーション設計は採用サイト制作の起点となる

コミュニケーション設計は採用サイトの制作のベースとなる概念です。以下のようなフローになります。

<コミュニケーション設計をベースとした採用サイト制作の流れ>

❶求職者が抱く感情を設計する
採用サイトを通じて、求職者が企業にどのような感情を抱くべきなのかを明確にする=コミュニケーション設計を行う

❷コミュニケーション設計を端的にまとめる
求職者に抱いてもらうべき感情を端的にまとめたものが、採用サイトのコンセプトになる

❸コミュニケーション設計をアウトプットする
求職者が感情を抱くまでの仕掛けが採用サイトの構成、デザイン、コンテンツになる

→「コミュニケーション設計」が採用サイトの起点となる

03.コミュニケーション設計に必要な基本の3つの視点

コミュニケーション設計は突き詰めると非常に複雑です。事業フェーズや市場、ターゲットとなる求職者の属性などによって異なるため、今回は必ず押さえておきたい基本の視点に限定して紹介いたします。

基本の3つの視点とは

採用サイトのコミュニケーション設計を考える上で、基本となる視点は3つです。

 

<コミュニケーション設計に必要な3つの視点>
➊〇〇な求職者が
➋〇〇と感じるために
➌〇〇を伝える

 

この3つが、そのまま基本のコミュニケーション設計になります。今回の勉強会では、それぞれの視点をより明瞭化するためにスターバックス様のコンセプトが適していると考え、参考例として挙げました。

➊〇〇な求職者が

新卒(はじめて社会に出る人)または中途(経験者)に加えて、求職者の願望や悩みを表す言葉を組み合わせると、より解像度が高くなります。

 

<例>
挑戦したい=挑戦意欲の高い + 新卒の求職者
・スキルを活かしたい=技術のある + 中途の求職者 など

➋〇〇と感じるために

 

➊の求職者が、この企業に応募しようと思うために必要な感情です。求職者の願望の成就や、悩みの解消につなげる必要もあります。

 

<例>
・自分の裁量で挑戦できる企業だと感じるために
・今までのスキルを活かせる企業だと感じるために など

 

➌〇〇を伝える

 

➋で定義した感情を抱かせるために必要となる、企業の一面が該当します。採用サイトを通じて企業から求職者に伝えること。採用サイトのコンセプトにつながります。

 

<例>
・挑戦を応援する企業風土であることを伝える
・スキルを活かして活躍する社員の情報を伝える など

 

04.採用サイトのコミュニケーション設計実例

具体的なコミュニケーション設計例を解説していきます。エムハンドの制作実績をベースに、基本の3つの視点で言語化しました。

アスフィ国際特許事務所様

 

<コミュニケーション設計>
❶プロとして働く覚悟を有した求職者が
❷アスフィで知的財産のプロになれると感じるために
❸アスフィが顧客に提供する価値の可能性を伝える

 

担当ディレクターからの補足
プロとして働く覚悟を持つ人に向けて、「あなたの活躍をお待ちしています」という見せ方にしています。自身の可能性や知的財産の可能性を拓くことを意識し、知的財産に興味を持ってもらい、弁理士として特許事務所で働きたいと思う人に価値を感じてもらえるサイトを目指しました。

 

弁理士法人アスフィ国際特許事務所|リクルートサイト
https://usfi-pat.gr.jp/recruit/

 

山水保育園様

  

<コミュニケーション設計>
❶キャリアを活かしたい求職者が
❷キャリアを活かして子どもの未来をつくりたいと感じるために
❸子どもと職員の可能性を大切にしていることを伝える

 

山水保育園採用サイト | 西宮市で保育士・栄養士さんの求人・転職
https://www.sansui-hoikuen.jp/recruit/

 

そら植物園

 

<コミュニケーション設計>
❶挑戦志向の強い求職者が
❷人の記憶に残るような植物の仕事をしたいと感じるために
❸強い理念のある、そら植物園の堅実な実績を伝える

 

担当ディレクターからの補足
ご代表は多くのメディアに出演されています。「そら植物園=ご代表」のイメージが広く根付いていて、ご代表に憧れて応募する人も多い。今回の採用サイトでは「こんな面白いご代表の下で、こんな面白い仕事ができるんだ」という、理念と仕事にフォーカスさせることを意識しつつ、プロジェクトの流れや部署間の連携などで得られるやりがいを中心に設計したという背景があります。

 

そら植物園 公式採用サイト
https://recruit-from-sora.com/

 

愛和病院様

 

<コミュニケーション設計>
❶川越の医療施設での就労を検討している求職者が
❷地域の人を想う仕事をしたいと感じるために
❸職員ひとりひとりと、地域のひとりひとりの繋がりを伝える

 

担当ディレクターからの補足
地域で有名な産婦人科医院です。既に認知している求職者が、愛和病院様の魅力をさらに深く理解できる採用サイトにしました。看護師や助産師だけではなく、事務職などの非医療職の採用も強化したいとのご要望から、すべての職種を掲載。実際の医院の様子や職員の写真を多く掲載することで、ここで働いている職員と地域住人のつながりを表現しています。

 

川越の産婦人科・小児科「愛和病院」|採用情報
https://www.aiwahospital.or.jp/recruit/


05.勉強会後の取り組み

今回の勉強会の内容は、エムハンドの採用強化にも活用しています。コミュニケーション設計に必要な3つの視点のうち、➊主語にあたる求職者の解像度をさらに高めるための取り組みです。求職者の願望や悩みを理解するために、直近の新入社員に向けた社内アンケートを実施しています。

 

社内アンケートの一部を抜粋

 

この取り組みを通じて得た知見は、クライアントの採用サイト制作のブラッシュアップにもつなげていきます。

 

・・・

 

おわりに

今回の勉強会はいかがでしたでしょうか。私自身は弊社の制作実績を書くにあたり、実績公開する全サイトの提案書や案件情報を確認しているのですが、戦略の起点となるコミュニケーション設計の考え方の基礎を理解することができ、非常に勉強になりました。今後コンセプトの社内勉強会も開催されるとのことなので、今から非常に楽しみにしています。

エムハンドでは制作するサイトの戦略を考えるにあたり、フェーズごとに会議を行っています。担当ディレクターだけでなく、他複数のディレクターやデザイン担当、マーケ担当などが会議に参加し、それぞれの得意分野をもとに多角的な意見な総合し戦略を組み立てています。特に最近では採用サイトの制作を行う機会が多いこともあり、今回採用サイトに特化した情報をお届けしました。

なお、採用サイト制作のノウハウは「採用サイトの制作準備5ステップ」と題してホワイトペーパーにもまとめています。よろしければご覧ください。

 

採用サイトの制作準備5ステップ
https://x.com/marketing_mhand/status/1804081026454687768

 

※弊社の採用サイト実績はこちら
https://m-hand.jp/recruitment/

 

また、現在エムハンドでは、クリエイティブディレクターおよびマーケティングディレクターの採用募集を行っております。本記事で書いたような戦略に興味がある方のご応募をお持ちしております。

 

▼応募はこちらから
https://recruit.m-hand.co.jp/recruit03/

 

最後までお読みくださり、ありがとうございました。

 

writer
-
ぽぽ @lpncpn