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コンテンツはどうすれば「出会える」のか? ディストリビューション・プラットフォームの活用

先日株式会社ジャストシステムより発表された各企業の広報、企画、マーケティング担当者に向けたアンケート調査によると、2015年4月の時点でコンテンツマーケティングを実施している企業は11.7%だったそうです。

一方、米国のContent Marketing Instituteの調査レポートによると、北米に拠点を置く企業₍BtoC₎での実施率は86%でした。あまりにも日米差がありすぎるので今後複数のレポートを待たなければなりませんが、いずれにしても日本企業がマーケティング先進国である米国の企業に追従するのは非常によくあるパターンです。日本企業によるコンテンツマーケティングの実施率も今後上がってくると見ておいてよさそうです。

ディストリビューションとコンテンツの関係性

しかしその注目度の高まりの一方で忘れてはならないのが、コンテンツ自体がもつ「作っただけでは何にもならない」という特質です。つまり「人里離れた山奥でどれだけ良質な木彫りの彫刻₍コンテンツ₎を制作しても、その彫刻が山奥にあり続ける限りほぼ誰にも届かない」という作り手としては「酷」な現実のことです。

コンテンツはディストリビューション₍流通₎とセットになって初めて消費されるという構造をもっています。「作った彫刻を人が集まる街中に持っていく」というプロセスを経て初めてコンテンツはユーザーと出会い、認知されます。

 いま流通しているコンテンツマーケティングのハウツーものなどを見ていると、このディストリビューションの視点に欠けるものや希望的観測に彩られたものが多いように思うのですが、コンテンツマーケティングの実施率が今後さらに高まると私自身も含め「ブログを更新しているだけではトラフィックの流入数に満足できない」という事態に直面することになりがちです。こうした時、コンテンツを流通させるという課題はいよいよ避けて通れなくなってきます。

 そこでコンテンツを「山奥」から「人のいる街中」に出すためにも、ディストリビューション・プラットフォームの活用を狙っていくことになります。ここでは編集/ライターという立場にいると、自然と耳に入ってくるブログ向け各種ディストリビューション・プラットフォームをおさらいしておこうと思います。

 ちなみにSEO、ひいてはGoogleもユーザーの「検索行動」を通じてトラフィックを生じさせるディストリビューション・プラットフォームと言うこともできますが、SEOについては他の記事に詳しいので、ここではその他のプラットフォームに焦点を当てることにします。

狙っていきたいブログ向けディストリビューション・プラットフォーム【おさらい】

ディストリビューション・プラットフォームとしての「ニュースアプリ」

大きなトレンドの一端を匂わせる出来事だったように思いますが、スマホの爆発的な普及を受けて「SmartNews」や「グノシー」といったキュレーション系ニュースアプリが一大躍進を果たしました。

 報道によると「SmartNews」ユーザーは米国展開もあり1000万ユーザー超え、「グノシー」は900万ユーザーを超えたとされ、これまで国内では1強状態だった「yahoo!ニュース」の牙城を崩したのではないか?と言われるほどの急成長となりました。

(※これに関してはyahoo側の反論もあり諸説あります)

 それゆえ「SmartNews砲」や「グノシー砲」と言った言葉まで出現し、これらキュレーション系ニュースアプリにピックアップされると自サイトに爆発的なトラフィックの流入が起こるという現象が確認されています。

 ではどうしたらニュースアプリに掲載されるのか?ということになりますが、残念ながら具体的な掲載基準は公表されていません。しかしSmartNewsだと、Googleのようにボットがweb上を巡回しており、主にtwitterの拡散状況と照合しながら人気の記事をピックアップしているのではないか?などの憶測があります。

今後自身も含めブログ運営者はこうしたニュースアプリにいかに拾われるか?に右往左往することになりそうです。

ディストリビューション・プラットフォームとしての「ソーシャル・バズ」

このディストリビューションという観点においてもソーシャルネットワークは重要な存在です。「拡散」と一言にいっても実にさまざまな様態がありますが、概してSNS上のユーザーは能動的に面白いコンテンツを提供している/見つけてくる「インフルエンサー」とその周辺にいる「同調勢力」に二分できます。こうした大小さまざまな輪が乱立しているのがSNSユーザーの大きな構造と言えるかもしれません。

₍※ROM専という方ももちろんいらっしゃいます₎

 もちろんコンテンツの流通という観点でまず着目すべきなのは「インフルエンサー」のほうで、こうした人たちとコラボレーションして一緒にコンテンツを作ったり、特定のインフルエンサーに強く訴求するコンテンツを作ってみるのも有効な手段だと実感しています。

王道ディストリビューション・プラットフォーム「プレスリリース」

有償/無償さまざまなプレスリリースサービスがありますが、マス・メディアに掲載される可能性があるという意味では押さえておきたいディストリビューション・プラットフォームではないでしょうか。

 ただ個人的な感覚からいうと、プレスリリースで配信されたとしてもマス・メディアが扱うものはその中からほんの一握りという印象です。そのため成功率はかなり低いです。またマス・メディアの取り上げ方によっては自サイトへのトラフィックには直接つながらない場合もあります。

ディストリビューション・プラットフォームとしての「ソーシャル広告」

各SNSで配信される広告枠に出稿する配信方法ですが、Facebookやtwitterのタイムラインを見ているとネイティブ広告が多用されているようです。先日JIAAからネイティブ広告に関するガイドラインが発表されるなど早くも自主規制が入りましたが、大事なのは「コンテンツか?広告か?」の表層的な議論よりも、ユーザーにとって有益な情報か否かにありそうです。

 ソーシャル広告の出稿は従来の広告費に比べかなり安価ですので、ディストリビューション・プラットフォームの研究として手軽に実験の場を提供してくれそうです。

おわりに

ここまでの話で「それじゃコンテンツを流通させる経路さえ確保すれば、コンテンツの質は問われないのでは?」という疑問が生じるかと思います。

 あくまで個人的な見解ですが、これまでにもそういったプラットフォーム偏重気味な成功事例は数えたらキリがありません。コンテンツ偏重サイドから見れば「なんであんなコンテンツが話題になるの…?」となりますが、これはディストリビューションの観点が欠けた見方なのかもしれません。しかしだからと言って「コンテンツの良し悪しは関係ない」と言い切ってしまうのはいかにも極言ではないでしょうか。

 少なくともコンテンツの作り手側が「コンテンツをどう効率的に流通させ、消費してもらうか?」というディストリビューション面の視点をもつことは、今後ますます不可欠となっていきそうです。

――自戒の意をこめまして…。