このページの本文へ移動

blog

design

知っておくと便利な 文字組の2つのポイント

文字組は感覚的な作業が多く、悩んでしまう方も多いのではないでしょうか?そこで、文字組の時に意識しておくべき2つのポイントを、ドイツ人デザイナー、ヤン・チヒョルトのタイポグラフィの手法を参考にご紹介します。

文字組とは

文字間やサイズを調整して、文章の意図をより分かりやすく、美しく見せる作業のことを「文字組」と呼びます。
Adobe illustratorやPhotoshopで文字を入力すると、そのままでは文字と文字の間隔が均一に見えません。ロゴ、キャッチコピー、バナーの見出しなど画像として作成したものは、必ず文字組の作業を行うのが良いでしょう。

文字組で覚えておきたい、3つのキーワード

①ステム

ステムとは、文字を構成する縦の線の事です。

ステムを揃えると、文字を効率よく等間隔に配置することができます。

②カウンター・スペース

「a」、「e」、「o」などステムが含まれない、文字自体が空間を持つものもあります。このような空間をカウンター・スペースと言います。

特に、日本語にはカウンター・スペースが複雑に混在する文字が多くあります。

③濃度

タイポグラフィでは、文字の見た目のバランスを「濃度」で表現します。

文字自体の塗りの部分を「黒」、余白や空間部分を「白」と考える手法です。

文字組の2つのポイント

文字組では濃度を見る事を意識しておくと、作業がグッと簡単になります。

では、濃度を見るときのポイントとはなんでしょう?

POINT1:「白」の領域を見て、バランスを調整。

まず文字と文字の間の空間、つまり「白」の領域を調節します。
白の空間を少なくすると、濃度は濃くなりデザインに緊張感が生まれます。また、白の空間を大きくとると、安心感のあるデザインになります。「白」の領域を意識して、文字の塗り部分である「黒」との対比を調節することで、文字が与える印象を変えることができます。

POINT2:カウンター・スペースの前後の文字間を見る。

例をあげてみましょう。

図1は、全く文字組を行っていないベタ組みと呼ばれる状態です。

まず、文字間を均等にします。(図2)

しかしこのままでは、まだ均等でない印象。

ここで、「cou」に注目してみましょう。

「c」には文字自体にカウンター・スペースがあり、右側が開いているため、「o」と「u」の文字間に比べ、「c」と「o」の間の空間が大きく見えます。
そこで、「c」と「o」の間を詰めることで、濃度を均等にすることができます。(図3)

まとめ

空間を「白」と「黒」に見立ててバランスを確認する、この方法は、文字組だけでなくデザイン全般で使えるテクニックだと思います。レイアウトに悩んだ時は、ぜひこの手法を試してみて下さい。

<参考文献>
ヤン・チヒョルト「書物と活字」朗文堂